「TOEIC公式の無料アプリ、English Upgraderって実際どうなのかな?」
「English Upgraderってアプリストアの評価はあまり高くないけど、ダウンロードする価値あるかな?」
今回はこのような疑問をお持ちの方に向けて記事を書きました。
こんにちは。灯子と申します。
過去4回TOEICを受験し、710点→740点→810点→895点と点数を上げて行く中、かたわらにはTOEIC English Upgraderの存在がありました。
今回は、このアプリを活用した学習方法について皆様にシェアさせていただきます。
少しでも皆さまの学習のお役に立てれば嬉しいです。
なお、TOEICの対策については以下の記事もご参考になさってみてくださいね。
もくじ
TOEIC English Upgraderとは?
日本でTOEICを運営するIIBC提供の完全無料アプリ、TOEIC English Upgrader。
このアプリ一つで英語学習に加え、TOEICテストの日程確認や申し込み、テスト結果の確認が可能です。
英語学習については、全部で63あるエピソードの中から1話づつ好きなエピソードをダウンロードすることができます。
ダウンロード後、「リスニングモード」と「クイズモード」のどちらかを選び、特定の話題についての1〜2分程度の英会話をもとにした様々なフレーズを学ぶことができます。
例えば、リスニングモードでは冒頭に日本語で簡単なトピックの案内が流れた後、英会話が始まります。
続いて日本語でフレーズの解説があり、合間に英語でのクイズも挟みつつ、最後に日本語訳が流れるという流れです。
内容としてはラジオ英会話を聞いているのに近い感覚かと思います。
また、クイズモードでは英会話を聞いた後に出題されるクイズに答えることで、エピソードの理解度をはかることができます。
こちらは元々ポッドキャストだったものをアプリ化したものですが、最終アップデートは2015年で、今後新しいエピソードが追加されることは期待できなさそうです。
またTOEIC English UpgraderのApp Storeでの評価は「2.9」、Google Playでの評価は「3.9」となっており、レビューには「役に立った」という高評価もある一方で、「初心者向きではない」「アプリの使い勝手がイマイチ」という声もあるようですね。
では、次はこちらのアプリを使い続けている私がユーザー目線でアプリのメリットとデメリットをご案内していきます。
TOEIC English Upgraderを利用するメリット
スマホひとつで完結!スキマ時間に効果的に学習
英語学習で大変なのは、なんと言っても学習時間の確保ではないでしょうか?
忙しい毎日を送っていても、TOEIC English Upgraderとイヤホンさえあれば通勤通学中、家事の合間などのスキマ時間を利用して、スマートに質の高い学習ができます。
それぞれのエピソードの長さは8~15分と短めな上、英会話には英語のスクリプト、日本語訳、フレーズ一覧がついていてボタンひとつで切り替えて見ることができます。
そのため別に辞書やテキストを開くことなくスマホだけで学習が完結するので、混雑した電車の中でも効率的に学習することができます。
私の場合は朝起きると同時にTOEIC English Upgraderをかけ、リスニングしたりシャドーイング(音声を聞き取り、2~3語遅れて自分も声を出す学習法)をしながら、朝の支度や料理をしていました。
また、外出先での待ち時間にも英語スクリプトを日本語訳と見比べて精読できたのが、スキマ学習にとても役立ったと感じています。
TOEIC English Upgraderの音声はスピード早め。慣れれば本番に有利!
TOEIC English Upgraderで使用される音声は、本番のTOEICリスニングテストよりも若干スピードが速いように感じます。
(これが、このアプリが「初心者向きではない」と評価される一因になっているのかなと思います。)
これはあくまで私の経験ですが、TOEIC English Upgraderの音声のリスニング・シャドーイングを継続したあとTOEIC公式問題集のリスニングテストの音声を聞くと、ゆっくりで聞き取りやすくなっているのに気が付きました。
その結果、公式問題集で模試を行うとリスニングについては正答率88~89%を取れるようになりました。
TOEIC本番では音声が流れるのは1度きりですし、問題を解きつつ回答用紙の所定の欄にマークし続ける注意力も必要なので、リスニングだけでいっぱいいっぱいでは気持ちが焦ってしまいますよね。
TOEIC English Upgraderの音声スピードに慣れておくことは、本番での余裕につながるのかなと感じています。
内容が面白く、日本語の解説もためになる
TOEIC English Upgrederに全部で63あるエピソードの中には、海外出張・会議・プレゼン・営業など様々なテーマが含まれています。
こちらのアプリは公式ではあるもののTOEICの出題形式に対応していないのですが、トピックや語彙、フレーズの範囲はTOEICの内容とかぶっているため、試験対策にとても役立っています。
毎日シャドーイングしているTOEIC English Upgraderで出てきたフレーズや英単語が公式問題集に出てくると、意味がスッと理解できるので嬉しくなってしまいます。
また、アプリを監修されている通訳者の白石りささんの日本語での解説も、バイリンガルならではの文化の違いを反映した視点で語られていてとても興味深いです。
ときおり新出フレーズの別の用法も教えてくれるので、英会話部分だけでなく、日本語の解説部分もシャドーイングしようかなと思うくらい有益です。
さらに、エピソードの中にはピーター・バラカンさんやETS(TOEIC作成元の機関)のアンダーソンさんなどのインタビューも含まれていて、いわゆるジャパニーズ・イングリッシュの問題や、TOEICのスコアが伸び悩んだときはどうすれば良いのかなど、日本人が英語を学習する上で参考になる情報にも触れることができます。
無料の上ためになる、といいことづくめのような気がしますが、ここからは私がTOEIC English Upgraderを使っていて感じたデメリットも正直にお伝えさせていただきます。
TOEIC English Upgraderのデメリット
音声スピードが速めで中級者向け?
メリットのパートでもお伝えしましたが、TOEIC English Upgraderの音声スピードは速めなので、英語学習の初心者の方でエピソードを一度聞いてみて「何についてのトピックなのか全く分からない」と感じられる場合にはあまりオススメできません。
なぜなら、エピソードを聞き流すだけでなく音声に合わせて自分も読み上げたりする学習が大切だと思うので、スピードが早すぎると負担が大きく学習を続けるのが難しくなってしまうかもしれないからです。
そう感じられる場合は、公式問題集の音声から始められた方が取り組みやすいかと思います。
TOEIC本番の音声とのギャップあり
また、TOEIC English Upgraderはアメリカ英語のみなのに対し、TOEIC本番の試験の音声は、アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアのバラエティ豊かな話者によって作成されています。
これらの国の発音は公式問題集の音声を聞いてみるとお分かりいただけるかと思いますが、それぞれにかなり異なっています。
つまり、TOEIC English Upgraderだけでリスニング対策をすると、本番のリスニングで失敗してしまう可能性があるかもしれないと感じています。
私もTOEIC English Upgraderばかり聞いていて、久々に公式問題集の音声を聞いたら特にイギリスとオーストラリアの発音が聞き取りづらく焦ったものです。
これについては公式問題集のリスニングパートや、ネイティブの方の発音が聞けるYouTubeなどを活用し、ネイティブの方の発音を聞く機会も積極的に作ることで対策ができるかと思います。
TOEICの出題形式に対応していない
こちらも残念なポイントなのですが、TOEIC English UpgraderはTOEIC試験の出題形式に対応していません。
エピソードの中で出題されるクイズはリスニングパートのパート3、4の形式に似てはいるものの、これだけでは対策としてボリューム不足かと思われます。
そのため、公式問題集など別のTOEICに特化した教材で対策することが必須になります。
しかし、エピソードの中には例えば「エコをテーマとしたイベント」「フェアトレード」などについての長めの説明文が豊富に含まれていて、リーディングパートの対策にも役立つことは間違いないと思います。
これらの長文は軽いリスニングだけでは文の構造を理解するのが難しく、英文と日本語訳を見比べてしっかり精読する必要があるので、リスニングとリーディング両方の対策になっていると感じています。
使い勝手が微妙なところあり
こちらはアプリの使用感なのですが、リスニングでは「この部分が聞き取れない!少しだけ巻き戻して何度も聞きたい」、または「この部分は飛ばして聞きたい」と思うことってありませんか?
残念ながら、TOEIC English Upgraderには公式問題集のダウンロード音声のような「10秒戻す」「10秒進む」のボタンがないため、こういった痒いところに手が届く操作ができません。
しかも各エピソードの英語音声は1~2分と短いため、再生バーを指で細かく操作するのもなかなか難しく感じます。
アップデートは長年されていないようなので改善は期待できないかもしれませんが、こういった使い勝手がもう少し良くなると嬉しいと思います。
TOEIC English Upgrader 私のフル活用法
では続いて、このアプリの私が行なっている活用法をシェアさせていただきますね。
皆さまの学習の参考になれば幸いです。
スクリプト(英文)を見ながら聞く
まずはスクリプト、フレーズ一覧、日本語訳を参照しながら一通りエピソードを聞きます。
このとき、次のステップの音読にそなえて英会話のパートのみ何度か繰り返し聞き、それぞれの文を主語・動詞・関係代名詞などに分けて構造を理解しながら聞くようにします。
音読
次に一度音声を止め、まずは自分のペースで大きくゆっくり音読します。
このとき、先ほど精読した文の構造を意識しながら読むと内容がよりつかみやすくなるかと思います。
また、知らない単語があったら日本語訳と照らし合わせて、文脈ごと覚えてしまうつもりで読み上げましょう。
繰り返し音読して、自然なスピードまで上げられると良いかと思います。
オーバーラッピング
オーバーラッピングとは、スクリプトを見ながら音声と同時に読み上げることを言います。
何度も音読した内容でも、いざオーバーラッピングしてみるとスピードについていけなかったり、単語同士のつながりがうまく発音できないという部分が出てきたりするかと思います。
また、イントネーション(抑揚;言葉を話すときの声の上がり下がりのこと)を真似するのが難しいと感じる部分も出てくるかもしれません。
ただ「聞いている」のと「自分が音声に合わせて読み上げる」ことのギャップに私も毎回驚き焦ってしまいますが、ここで挫けずに繰り返すのが大切かなと感じています。
なぜなら、繰り返していれば徐々にできる部分が増えてくるので、あとは苦手な部分を何度でもしつこく繰り返せば、このエピソードが立派な「シャドーイングのための教材」になってくれるからです!
とにかく繰り返し聞いてシャドーイング
シャドーイングとは、スクリプトを見ずに英語の音声を聞きつつ、それに2~3語遅れて自分も発声する学習方法です。
シャドーイングはスクリプトを見ずに行うため、一つのエピソードをシャドーイングができるまでの状態に持って行ければ、例えば家事をしている間などの「手は動かしているけど、耳と口が空いている」時間にシャドーイングをして復習することができます。
もちろん私もシャドーイングをやってみて、「やっぱりうまく言えない!」という部分が見つかることもよくあるので、そんなときはその都度スクリプトを確認し、再度音読・オーバーラッピングに立ち戻ってやり直しています。
学習の効果を感じた嬉しい瞬間は、突然訪れた
直接TOEICとは関係がありませんが、上記の学習方法によって予想しなかった効果を感じたエピソードも紹介させてくださいね。
それは、オンライン英会話で講師から日本のオススメの観光地を聞かれたときでした。
無意識に私の口をついて出た言葉は、
“You can’t go wrong with Kyoto!”
というもの。
実はこのフレーズ、TOEIC English Upgraderで繰り返しシャドーイングした内容でした。
実際の会話で使ったことがなかったため、自分でもびっくりして思わず
“おおっ…だっDoes it make sense!?(意味が分かりますか?)”
と聞いてしまいました。
講師はニコニコ顔で
“It makes sense!”
と答えてくれてほっとしましたが、後から思い返すと、繰り返し音読などを行なっていたからいつの間にかフレーズが身についていたのかなと思います。
この学習法で、これからもこんなふうに色んな単語やフレーズが自然と口から出てくるようになればいいな、と願っています。
結論
メリット:
・スマホひとつで完結!スキマ時間に効果的に学習
・音声はスピード早め。慣れれば本番に有利!
・内容が面白く、日本語の解説もためになる
デメリット:
・音声スピードが速めで中級者向け?
・TOEIC本番の音声とのギャップあり
・TOEICの出題形式に対応していないので、公式問題集など別のTOEIC対策は必須
・使い勝手が微妙なところあり
リスニング・音読・オーバーラッピング・シャドーイングの継続でフレーズを自分のものにする
まとめ
今回はTOEIC English Upgraderについてシェアさせていただきました。
記事を書いていて改めて感じたのは、「どのアプリを選ぶにせよ、継続と反復が大切」ということでした。
まだまだ勉強中の私ですが、この記事が少しでもあなたのお役に立てれば幸いです。
では、最後までお読みくださりどうもありがとうございました!
TOEIC English Upgraderのメリット・デメリット・効果的な活用法がわかる。